2009-01-01から1年間の記事一覧

163 動植物を殺すのは「当然の権利」か、「申し訳ないが…」か

ノラ猫たちとさまよったボクの仏教入門 163163 動植物を殺すのは「当然の権利」か、「申し訳ないが…」か 人間の命と人間以外の生き物の命の違い、とりわけ日本と欧米でそれはどう違うのだろうか? 「仏教といのち」のシンポジュウムの論点はそこに移り…

162 猫の解剖授業――住職先生の無知・ひとりよがり・はったり三

ノラ猫たちとさまよったボクの仏教入門 162162 猫の解剖授業――住職先生の無知・ひとりよがり・はったり三重奏 ただ生命尊重をいうだけが仏教ではない、という高野山真言宗住職で相模工業大学教授・佐伯真光さんの話のつづき。 「考えてみるとわれわれ…

161 「不惜身命」(命を惜しむな)――虫を殺してなぜ悪い?

ノラ猫たちとさまよったボクの仏教入門 161161 「不惜身命」(命を惜しむな)――虫を殺してなぜ悪い? 中村元・東大名誉教授の基調講演はつぎのように終わる。 「原則として西洋の宗教には近世まで動物愛護という思想はなかった。その後、生活が豊かに…

160 仏教学者の「動物のいのち」シンポジュウム・基調講演から

ノラ猫たちとさまよったボクの仏教入門 160160 仏教学者の「動物のいのち」シンポジュウム・基調講演から 仏教は人間であれ、動物であれ、虫けらであれ、生きとし生きるものの命を奪うことをもっとも重い罪に定めている。ところが、それは口先だけで、…

159 命のシステムを改組酷使する人間どもへ豚インフルエンザの反

ノラ猫たちとさまよったボクの仏教入門 159159 命のシステムを改組酷使する人間どもへ豚インフルエンザの反撃豚インフルエンザについて「人間が他の生きものの生命のシステムを徹底的に酷使した結果……」とテレビでコメントしているのを立ち聞きした。…

158 「障害者神学」と、動物・生きものたちへの思い

ノラ猫たちとさまよったボクの仏教入門 158158 「障害者神学」と、動物・生きものたちへの思いこの世の支配構造は神―→人間―→自然(動物―→植物―→無生物)のタテ社会、というのが聖書のご託宣である。だから当然、人間は動物たちをツールとして遠慮会釈…

157 生老病呆死(30)聖書の神はランク付けがお好き!?

ノラ猫たちとさまよったボクの仏教入門 157157 生老病呆死(30)聖書の神はランク付けがお好き!?「今までことさら避けてきたテーマに真正面から触れる」と挑発的な前置きをして神学者・北森嘉蔵牧師は創世記〈天地創造〉の章の解説をはじめる。『神…

156 生老病呆死(29)科学はhowを 宗教や哲学はwhatを問う

ノラ猫たちとさまよったボクの仏教入門 156156 生老病呆死(29)科学はhowを 宗教や哲学はwhatを問う哲学でいう「神」は、無機的で、人間と関係なく考えられる存在だが、キリスト教の「神」は人間や世界との関わりの中でのみ存在する。これがキリスト…

155 生老病呆死(28)聖書の神と哲学・一般教養の神

ノラ猫たちとさまよったボクの仏教入門 155155 生老病呆死(28)聖書の神と哲学・一般教養の神 イエスの戸籍調べなど瑣末なことだ、キリストの教えそのものが大事なのでないか。もっとキリスト教精神の本質を問題にせよ、とボクもおもう。しかし、たま…

154 生老病呆死(27)イエスの戸籍にこだわる幼稚なボク

ノラ猫たちとさまよったボクの仏教入門 154154 生老病呆死(27)イエスの戸籍にこだわる幼稚なボク 評価の高い遠藤周作のキリスト教文学作品がなぜ当のキリスト教関係者(むろん全員ではない)から忌避されているのだろう。30年ほど前になるが、雑誌…

153 生老病呆死(26)今度も書けなかった「イエスのふしぎ」

ノラ猫たちとさまよったボクの仏教入門 153153 生老病呆死(26)今度も書けなかった「イエスのふしぎ」 遠藤周作の3部作の最後は「キリストの誕生」だ。 あとがきによれば、前作「イエスの生涯」を書き終えたとたんに、「現実においては無力で、無残…

152 生老病呆死(25)その人には見るべき姿も、威厳も美しさもな

ノラ猫たちとさまよったボクの仏教入門 152152 生老病呆死(25)その人には見るべき姿も、威厳も美しさもなく 遠藤周作のキリスト教文学作品の2作目は『イエスの生涯』である。 『イエスの生涯』 洗者ヨハネの逮捕・死で、民衆の期待はその後継者イエ…

151 生老病呆死(24)いちばん辛い愛の行為をして司祭は転んだ 

ノラ猫たちとさまよったボクの仏教入門 151151 生老病呆死(24)いちばん辛い愛の行為をして司祭は転んだ 『沈黙』『イエスの生涯』『キリストの誕生』は遠藤周作のキリスト教文学3部作である。国内外で高く評価され、いずれも著名な賞を受けている。…

150 生老病呆死(23)身代わりを申し出て死んでいったコルベ神父

ノラ猫たちとさまよったボクの仏教入門 150150 生老病呆死(23)身代わりを申し出て死んでいったコルベ神父 難病を治した、萎えた足を立てるようにした、そんな超能力者イエスの「奇跡物語」より、いつも弱い人、貧しい人、悩む人のそばにいて、苦しみ…

149 生老病呆死(22)三つのエピソードで綴る「イエス同伴者論」

ノラ猫たちとさまよったボクの仏教入門 149149 生老病呆死(22)三つのエピソードで綴る「イエス同伴者論」作家・遠藤周作は持論の「イエス同伴者論」を、たとえばつぎの3つのエピソードで説明する。いずれも病気がちだった遠藤の入院中のできごとだ…

148 生老病呆死(21)聖書最大のナゾーー〈復活〉

ノラ猫たちとさまよったボクの仏教入門 148148 生老病呆死(21)聖書最大のナゾーー〈復活〉遠藤周作の「お仕着せ洋服論」はキリスト教入信のきっかけを平明に示してくれたが、「復活」と「奇跡」についても、遠藤によってボクははじめて合点すること…

147 生老病呆死(20)信仰とは90%の疑いと10%の希望

ノラ猫たちとさまよったボクの仏教入門 147147 生老病呆死(20)信仰とは90%の疑いと10%の希望「洗礼を受けないと本当の信仰は得られない」と遠藤周作にいわれ、加賀乙彦さんは洗礼を受けた。洗礼の前後、理屈ではない喜悦の感覚に全身を包まれ…

146 生老病呆死(19)ある死刑囚の3つの顔

ノラ猫たちとさまよったボクの仏教入門 146146 生老病呆死(19)ある死刑囚の3つの顔作家加賀乙彦さんはカトリックの洗礼を受けた動機を3つあげている。 1つは科学とは次元の違う「比較や疑問を超えた世界」の中へ。「自分はこどものころから物事を…

145 生老病呆死(18)人類は光の帯、と説く加賀乙彦さんの死後観

ノラ猫たちとさまよったボクの仏教入門 145145 生老病呆死(18)人類は光の帯、と説く加賀乙彦さんの死後観同じキリスト教作家でも加賀乙彦さんはだいぶ前、週刊誌に死後の世界を次のように書いている。「科学が進むに従って死後の世界は味気なくなっ…

144 生老病呆死(17) 曽野綾子がシナイ半島で見た生死の境界

ノラ猫たちとさまよったボクの仏教入門 144144 生老病呆死(17) 曽野綾子がシナイ半島で見た生死の境界岸本英夫教授があげる「永遠の命のイメージ」4類型の2番目は「死後における生命の永存を信ずるもの」である。これはキリスト教、仏教などの宗教…