84 動物実験⑯ 税金から費用もーー情報公開し検証必要

84 動物実験⑯ 税金から費用もーー情報公開し検証必要

動物実験にくわしそうな東京のフリーライターの方からユニークなご意見をいただいた。動物実験もまた税金などで賄われている。その費用計算にも国民は目を光らせよ、という指摘。

「日本の動物実験に関しては、どこの施設で,どのような内容の実験が、どれほどの数、行われているかーーこんな基本的事実さえ把握されていない。医薬学系だけでも千を超える学会があり、毎年万単位の研究発表があるが、極度に専門化した、研究のための研究、という色彩が非常に濃い。

そのほかにも研究の優先性や企業秘密という名のもとに多くの重複実験や失敗した実験データが埋もれ廃棄されている。研究にはムダはつきものだとか、マイナスデータも必要だとかいう意見も聞くが、動物の命と費用をばく大に消費にするツケは、すべて私たち納税者や消費者にかかってくるという視点がまったくなおざりにされている。

まず、実態の調査、情報の公開、第三者による査定などによってむだな実験をなくすることが先決だ。

研究者たちは何かというと、『動物実験は医学の進歩に役立っている』と言いたがるが、医学的知見が増えることと臨床の医療が改善されることは別問題。このあたりが意図的に混同されているために、動物実験をすればすぐにも病気が治せるというような幻想がまかり通ることになる。

生命に対する研究は、容易に生命を脅かすものとなり得る。だからこそ、ことさらに生物医学の研究には倫理が求められ、研究が公開され社会的に論議されていくことが必要なのだ。」=東京都、フリーライター

専門外の人々はーー研究者のごう慢さに怒りと驚き

つぎに動物実験に精通していない一般の人たちの怒りと驚きを。


「通信教育で学ぶ学習心理学にも動物実験の例は多数出てくる。生後間もない動物を感覚遮断したり、恐怖や電撃を与えたり。動物実験は臓器移植の問題とも似ている。人間の生命軽視が底でつながっている。」=西宮市、日本語教師、大谷朗子

「日ごろ、新聞や雑誌で動物実験の成果らしい記事ばかり見て何かおかしいと感じていた。研究者たちは自分を弁護するために難しい理論を並べているというのが私の感想だ。

動物には<科学的な意味での苦痛>はない、と述べている研究者がいたが、なんというごう慢だろう。科学で証明されないと苦痛があるとは認めない。その態度こそ動物実験の方法論的過ちを証明しているように思う。」=大阪府交野市、教師、永井多恵子

「たいへん考えさせられた。怒りと疑問がたくさん出てきた。医学のことは素人にはよくわからないかもしれないが、それでも『こういう病気の対策のためにこういう実験が必要だから』と世間に公表して了解を取るようにしてほしい。」=堺市槙塚台、原戸美都子。

「人間、しかも健康で優秀な頭脳を持った人間以外は切り捨ててもかまわないとも受け止められる科学者の傲慢な考え方には寒気をもよおす。たしかに動物実験のおかげで有効な薬ができ、救われることもあるだろう。しかし、その犠牲になった動物たちに感謝と畏れ敬う気持ちを持つことなくして本当に人間を救う薬ができるのだろうか。」=豊中市桜塚、堂守澄子

「心臓が飛び出すほどのショック。人間も植物、動物たちと同様、地球に生かされている存在なのだ」=西宮市、飯島佐起子

動物実験なしの化粧品類を使って1年。肌にへんな刺激を与えずとても快適です」=広島県豊田郡、岡野幸代

「弱いものをかばう心を失ってエゴにブレーキがかからなくなった人間はどうなるか。日本の動物実験のありかたを知ると、つくづく日本人の心の後進性を思う」=神戸市、佐藤秀
(次回につづく・住所、肩書きは当時のまま)